老兵は死なず、ただ消え去るのみ
"Old soldiers never die, they simply fade away"
日本には「去り際」という言葉がある。どんなに実績があったとしても一度引退すると決めたら綺麗に去っていかないといけない、という慣習というか通例というかそういうのがある。「去り際は綺麗に潔く」ということだ。
最近は「老害」なんて言葉が公然と使われているから、歳を取ったらさっさと退場しろ的な雰囲気が尚更強くなっている。なのに老害が減らないのは、引退=退場ではなくいわゆる引退→「院政」という制度が出来上がってきてしまっていることにある。
影の黒幕、とか〇〇の御隠居とか謎の老人とかそういう存在になって実力、影響力を維持し続けるわけだ。
ご本人たちは「ちゃんと引退しただろうが!」と去り際を綺麗にしたつもりなんだろうが、客観的に見れば全然そうは思えない。何も変っちゃいないわけで、そういう権力の維持の仕方が次世代のやる気をガンガン削ぐことになっている。まあその「次世代」も既に何処かで既得権益を得てしまっていて、その段階で骨抜きになっちゃってるんだろうヤカラも多いんだろうからもうどうしようもないのかも。
政治経済の世界ではそういう閉塞感に満ち溢れた昨今ではあるが、さて音楽家はどうなのか。
有名ミュージシャンでスパッと「完全引退」した人。去り際が綺麗だった人。
ひとりいた。
ちあきなおみ。
1992年9月11日に夫の郷鍈治氏が物故されて、その時からスパッと音楽活動を辞めてしまった。
10年ほど前だったか、演歌を中心に歌唱指導をされている先生(指導や評価が厳しいので有名な方だった)に「今まででいちばん上手い!と思われた歌手は誰ですか?」と尋ねたところ間髪入れず、「ちあきなおみだねえ。ダントツだよ」と言われた。1977年に放映されたNHK総合「ビッグショー」でのステージが素晴らしく、録画したものを何回も観ている、何回観ても素晴らしい!と感極まったように言われた。
何回も何回も復活待望論が出ているのだが、全くなし。潔いと言えばこれほどの人も他にはいないんじゃないか。
いま残っている映像を見返してみても実に、実に素晴らしい。
ジャンルの垣根を越えている。歌がちあきなおみそのものである。情念とか感情の渦とかそういうもの一切が全て歌に込められている。歌でわかる。説明も解説もいらない。これがわからない人は歌を、いや音楽をやめたほうがいい。俺はそう思う。
彼女の去り際、引き際を考えると、音楽とはミュージシャンが自分のモチベーションを具現化する為のみにやるものなんじゃないかと思えてくる。
自分にとって必要な時にはやるしかなく、必要でなくなったら出来なくなる、そんなものなんじゃないかと。
"Old soldiers never die, they simply fade away"
老兵はその意義を失ったら「兵」ではなくなる。兵としての死の宣告を受けることもなく、ただただ消えていく、、、。
「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」。この言葉をいま噛み締めている。
日本には「去り際」という言葉がある。どんなに実績があったとしても一度引退すると決めたら綺麗に去っていかないといけない、という慣習というか通例というかそういうのがある。「去り際は綺麗に潔く」ということだ。
最近は「老害」なんて言葉が公然と使われているから、歳を取ったらさっさと退場しろ的な雰囲気が尚更強くなっている。なのに老害が減らないのは、引退=退場ではなくいわゆる引退→「院政」という制度が出来上がってきてしまっていることにある。
影の黒幕、とか〇〇の御隠居とか謎の老人とかそういう存在になって実力、影響力を維持し続けるわけだ。
ご本人たちは「ちゃんと引退しただろうが!」と去り際を綺麗にしたつもりなんだろうが、客観的に見れば全然そうは思えない。何も変っちゃいないわけで、そういう権力の維持の仕方が次世代のやる気をガンガン削ぐことになっている。まあその「次世代」も既に何処かで既得権益を得てしまっていて、その段階で骨抜きになっちゃってるんだろうヤカラも多いんだろうからもうどうしようもないのかも。
政治経済の世界ではそういう閉塞感に満ち溢れた昨今ではあるが、さて音楽家はどうなのか。
有名ミュージシャンでスパッと「完全引退」した人。去り際が綺麗だった人。
ひとりいた。
ちあきなおみ。
1992年9月11日に夫の郷鍈治氏が物故されて、その時からスパッと音楽活動を辞めてしまった。
10年ほど前だったか、演歌を中心に歌唱指導をされている先生(指導や評価が厳しいので有名な方だった)に「今まででいちばん上手い!と思われた歌手は誰ですか?」と尋ねたところ間髪入れず、「ちあきなおみだねえ。ダントツだよ」と言われた。1977年に放映されたNHK総合「ビッグショー」でのステージが素晴らしく、録画したものを何回も観ている、何回観ても素晴らしい!と感極まったように言われた。
何回も何回も復活待望論が出ているのだが、全くなし。潔いと言えばこれほどの人も他にはいないんじゃないか。
いま残っている映像を見返してみても実に、実に素晴らしい。
ジャンルの垣根を越えている。歌がちあきなおみそのものである。情念とか感情の渦とかそういうもの一切が全て歌に込められている。歌でわかる。説明も解説もいらない。これがわからない人は歌を、いや音楽をやめたほうがいい。俺はそう思う。
彼女の去り際、引き際を考えると、音楽とはミュージシャンが自分のモチベーションを具現化する為のみにやるものなんじゃないかと思えてくる。
自分にとって必要な時にはやるしかなく、必要でなくなったら出来なくなる、そんなものなんじゃないかと。
"Old soldiers never die, they simply fade away"
老兵はその意義を失ったら「兵」ではなくなる。兵としての死の宣告を受けることもなく、ただただ消えていく、、、。
「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」。この言葉をいま噛み締めている。
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