あだやおろそかに
そう簡単に言ってはいけないことってある。
特に精神疾患に関わることは慎重に。当該者にとっては言われると本当に辛い言葉ってあるんだ。
もう30年前になるが、うつ病と診断された。そして検査入院をすることになった。うつ病は脳出血や脳梗塞が原因になることもあるので、それを確かめる目的で、と言われた。連日MRI、CTスキャン、脳波の検査などでひと月入院した。
入院病棟には俺のような検査入院でというのはあまりいなかった。
いろんな人がいた…。本当に辛そうな人、一所懸命自力で立ち直ろうとしている人、そわそわしている人、諦めたかのように無力な人…。
とにかく自分を見失っている感じの人ばっかりだった。
お医者さん、看護師さん、病院側の人たちはとにかく喋る言葉にとても気をつけているようだった。
自分がいる時には特に大きなアクシデントは起きなかったけれど、自分にとっては常になにかいつか爆発するか分からないような怖さを感じた。すごく漠然としていて卑近な感じとか直接的な雰囲気とか具体的な予兆みたいなのは全然なかったんだけどね。
俺は失語症になっていて、何か喋ろうとすると吃音になってしまって呼吸が苦しくなってくる。ドキドキと動悸が高まって緊張してしまう。この「喋る機械」と言われた俺がですよ…。
入院患者さんには午後に「レクリエーション・タイム」というものがあって、卓球か映画鑑賞かが選べるようになっていた。もちろん強制ではないけれど意外と参加者は多かった。卓球の方が断然多く…