俺にはもう時間がないんだ!
ドラマではよく聞くセリフではあるが実際に聞いたことはないなあ。
まあ似たような感じでこんなに切実ではないのは何回かあるけれど。「5時までに帰るって言っちゃったんでもう1テイクだけ行かしてください」とかね。
時間ってそんなに全ての人々に平等なわけではない。俺の3分とあなたの3分は同じではない。
3分と言えば。
カップ麺にお湯を入れて3分待つ時、例えば干してある洗濯物を取り込んで畳むところまで出来ないかと思いつく。きょうは少ないから大丈夫だろう、、、いや待てよと逡巡してしまうともうそれだけで15秒くらいは経ってしまう。ダメかなやっぱりやめとこう。でもその迷った15秒がなければ間に合ったかもしれないと後で思ったりする。実際はどうだったかはわからない。できたとしてもそれが終わってからカップ麺を食べなきゃいけないわけで、畳んで重ねた洗濯物を蹴っ飛ばしてバラバラにしちゃったりすると大変だ。そんなに急ぐ必要もなかったか、と後悔してものびた麺はあんまりおいしくないわけで。
63歳の俺にはもう無駄な時間はない、、、と言おうと思ったけれど、音楽をやっている以上いわゆる無駄な時間は必要なのだ。無駄といっても「結果的には無駄にはしない無駄」なんだけどね。
いい音楽をつくるにはいろんなものを見たり、いろんな人と話をしたり、いろんなところに行ったり、無作為にやらないといけない。いけないんだよ。でもその無駄な時間は無駄じゃないものになって帰ってくる、そう信じて無駄なことをやるわけだ。
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